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区役所で「障がい者手帳」を受領。所持の恩恵やメリットは?│妻の親(義両親)の介護日記

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義父母の介護帰省から5日目。義父が退院した翌日、義父が区役所に連れて行ってほしいということで昼休みに車で区役所の福祉課に同行することになった。

目当ては福祉課で発行される障がい者手帳を受け取ることであった。

手渡された手帳を見ると、

”二種6級”

との記載があった。

義父が抱える障害は「両感音性難聴」右76db、左77dbである。

あとで調べてみると、障がいの程度により1級から7級の等級に分類されており、障害者手帳を申請する際に審査が行われ、等級が認定される仕組みとなっているとのこと。

等級のレベルは1級にあがるほど障がいの程度が重く、7級に下がるほど軽くなるそうである。

身体障害者手帳自体は、6級以上の障がい者に対して交付されており、7級の障がい単独では、交付対象外となる。

障害者手帳所持により日常生活ではどのような恩恵を受けられるのか

福祉課の職員さんの話によれば障がい者手帳の発行によって様々な優遇措置を受けられる部分があるという。

しかし、後で各事業者に1箇所づつ問い合わせ調べた結果、2級以下(3級~7級)の軽度(ではないと思うが)?の障害レベルでは優遇措置はほぼ適用外であった。

詳しくは以下の通りである(あくまでも2022年7月時点での熊本県での適用範囲となるため自治体によっても違う可能性はある)。

正直至らないと感じてしまった福祉課職員さんの説明

区役所では義母と義父が福祉課の職員の方から障がい者手帳の使い方や割引適用範囲について説明があったという。

ある意味行政サービスの限界ないのかもしれないが、

高次脳機能障害を抱える義母と難聴障害者且つ網膜剥離の手術後視力にも限界のある老齢の相談者に対し、

「ふくしのしおり」というパンフレットを手渡し、そこに書かれている内容を一通り読み合わせしているようにしか見えなかった。

実際の手続き自体はその手引に記載しているサービス提供事業者にそれぞれ問い合わせ申請を行ってほしいということで区役所での説明は終わったようであった。

少し配慮が欲しかった部分ではあったが、

義父の障害は6級であり手帳もその場で受け取って職員の方も等級は把握していたはずである。あたかもほとんどのサービス事業者の割引適用が受けられるといった説明を受けたという。

6級であればここだけが適用範囲となり、ここに連絡してほしいなど具体的且つ絞った内容を相談者にはしてほしかった。

しかし、行政側も人手不足である。杓子定規な対応であっても致し方ないのかもしれない。

ただ、障害者自身が手渡されたパンフレットを見ながら1件1件それぞれの問い合わせ先に電話連絡をして申請手続きを行うというのは到底不可能であるというのが所感であった。

実際義父母はそのしおりを手渡されて何もできず困惑したという。

公共交通機関は適用範囲が広いが1・2級以外は手薄い

義父母の家に戻り、昼休みは終わってしまったため、就業後夕食の支度の前にしおりに記載されている事業者に1件づつ電話で問い合わせしてみることにした。

結果、障がい者手帳「2種6級」の公共交通機関における適用範囲としては、

熊本県では市電・民間バスは、本人のみ手帳を見せることで半額となるが、介護同伴者は割引適用範囲外。

JRは本人のみ片道100kmを超える範囲の普通乗車券が切符購入時に手帳を提示することで半額で購入可能。

タクシーは利用料金から1割引が適用。

タクシーは障害者にとっては一番利用頻度が高く重宝するため割引適用範囲や金額を拡大してほしいところである。

実際、義父も70を超え自分で運転するのには限界があり、家族も心配であることからなるべく運転はしてほしくはない。しかし、どうしても日々の買い物や行政機関への手続き、病院への通院など必要な際には義父が運転をして義母を送迎する必要がある。そんなときも行政の支援があれば運転をさせなくても良いのである。

※1・2級は福祉タクシー券が年間40枚程度支給されるようであるが利用頻度に比較すると適用範囲もまだ限定的と言わざるを得ない。

NHK受信料半額となるも申し込みまでの長い道のり

しおりに記載のあったNHKの窓口に問い合わせた結果、1回目の問い合わせ時には「6級の障がい者では割引や減免は適用範囲外」とのことであった。

しかし、福祉課では確かに割引になると言っていたという義父母の意見に違和感を覚え、一ヶ月後再度NHKに問い合わせた所、

「6級でも視覚障害と聴覚障害については等級かからわず半額免除の適用範囲に含まれる」

ことがわかった。

NHKの職員によっても対応内容が違うという恐ろしい実態を把握できたが、障がい者手帳の等級だけを回答してもらい、1.2級に該当しなければ全て適用範囲外としてしまうといった事例が実際にあるのには驚いた。

また、市町村民税非課税世帯の場合はNHKの受信料は全額免除になるとのことであった。

実際、義父はテレビの音声は最大にしてもほぼ聞き取れず、字幕でしか見ることができない。

字幕放送に対応している番組はほんの一部のみであることから全額支払って視聴するというのは不公平な気もしていた。

受信料免除申請についてはひと手間かかるようであった。

NHKによれば、再度区役所の福祉課に出向いて専用の申請書類と世帯主であることを証明するための住民票の取得が必要になるとのこと。

書類自体はNHKから直接自宅へ郵送も可能らしいが、住民票はどうしても行政機関に出向く必要がある。障害者に何度も足を運ばせる仕組みになっているとは至らない点ばかりである。

半額免除になるのは良いことではあるが、実際に申請フローを把握するにあたり、手間の多さから申請を断念する障がい者も非常に多いのではないかと感じた。

障害者への税金軽減制度も申請方法に難点か

障害者手帳所持者は所得税・住民税の控除が適用されるということも今回わかった。

義父のような6級の障がい者(1・2級以外の等級)では

所得税の障がい者控除額として、27万円

同一生計配偶者または扶養親族が障がい者の場合でも27万円が一人に付き控除される。

また、住民税についても一人当たり26万円が控除となる。

ようであった。これは義父母のように年金生活者にとっては大きな控除である。

ただ、再び申請方法に難点がある。

問い合わせた所、所得税控除も住民税控除も毎年1回、

確定申告時に税務署に障がい者手帳を持参し確定申告をして控除の申請を行うしか方法がないということであった。

e-Taxという方法もあるが、高齢者がいきなり電子申請を使い切れるとは考えづらい。

障害者手帳を発行して個人が特定されているのであるから、それこそDXでデータ連携し自動的に控除が適用されるような仕組みを実現してほしい。

そのあたりも障害者に対しての配慮や体制が本当に不足していると実感した。

障がい者自身が大変込み合う確定申告時期に税務署に並ばせて確定申告をさせるというのはどうかと感じた。

おそらく義父母の状態であれば自力で確定申告はできず付き添いが必ず必要になることは明白である。

これこそ介助者がオンラインで申請や手続きができるなど配慮が必要なのではないか。または障害者手帳発行者には自動的に税が控除されるなどの仕組みがとれても良いはずである。

自治体DXで各種データが連携されつつあると言われているが、本当に必要な部分にこそDXが適用されていないのが浮き彫りである。

ちなみに自動車税の減免などもあるようであったが、問い合わせた所、聴覚障害の場合は2・3級までが適用範囲となり6級は対象外ということであった。高速道路についても障がい者割引などがあるようである。

ケーブルテレビ(Jcom)や携帯電話(主要キャリア)の割引もある

義父母の家では電話やテレビ、インターネットをまとめてJCOMで契約しているがJCOMにもハートフルプランという障害者向けの割引制度があるようであった。通信費が半額に免除されるプランのようであるが詳しく聞いてみるとこれも1・2級に限定した制度のようであったため義父は対象外であった。

また、携帯電話にも主要キャリアでは障がい者向けプランが用意されている。ドコモでもハーティ割引というプランが用意されている。ざっとこのような特典があるという。

  • 毎月の携帯電話の基本使用料が割引
  • 「spモード」や留守番電話などの月額使用料が60%割引
  • テレビ電話通信料が割引
  • 「新規契約」「名義変更」「機種変更」「契約変更」の各種お手続きの手数料が無料
  • スマホやタブレットの初期設定をドコモショップスタッフがサポートする、「初期設定サポート」が無料
  • 電話番号案内「104」への通話料・番号案内料が無料
ハーティ割引 | 料金・割引 | NTTドコモ
身体障がい者手帳などの交付を受けており、利用者として登録されている方へ、「ハーティ割引」をご案内します。携帯電話の基本使用料や各種サービスの月額使用料を割引するほか、さまざまな特典があります。

行政や民間企業の障害者向けサービスについて介護者視点での所感

親族や近い親戚に障がい者がいなかったことからこれまで触れることのなかった行政や民間企業が提供する障がい者向けのプランやサービスについて介護する立場となり初めて知ることができた。

残念ながら、行政や企業側にとっては少しでも障害者の助けになればいう思うから特別に用意して頂いているものの、その内容や申請方法は障がい者の視点や捉え方とはかなり距離があるのではないかという所感であった。

内容も障害者にとっては有益なものも含まれてはいるものの、実際申請や利用しようとすれば様々な障害(健常者にとっては障害に感じない何気ないことでも障害者にとっては書類1つ取りに出向くだけでも大きな障壁)があることを実感した。

行政、企業とも良かれと思いサービスやプラン設計をしていることと思うが、実際に利用する側の立場になり再設計してみるとまた違った内容や申請フローになってくるのではないかとも感じた。

データ連携をすることで重複申し込みを排除する。効率性を重視したフローに改定し、対象(患)者の申請までの発生する移動距離や時間を最小限にする。電話で本人確認や申請申込みを完結できるようにする。それだけで大きく利便性が改善され、障がい者にも利用されるサービスに進化することになると思う。

こういった視点や捉え方実際にその立場になって負担を実感してみなければわからないものである。

やはり、介護の現場では日々どれに置いても50代にして初めて学ぶことばかりである。

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