50代になって初めて妻の親を介護することになり、初めての経験も多いが新鮮な体験もさせてもらっている。その1つが人のために作る料理である。これまで自分のためには作ったことはあったが、人のために人に食べてもらうための料理はしたことは全くと言ってよいほど経験がなかった。
義父からは「義母の大好物」ということで特にオーダーのあった味噌汁には結構苦戦した。
最初はインスタントで
介護当初は作り方も知らないのでスーパーに売っている「あさげ」「ゆうげ」をパックで購入しお出ししていた。
そうすると、やはり義母も「いいよ」「気にしないで」「おいしいよ」と気を遣うものの結局半分以上は残しているようであった。
たぶん味がこすぎるか、具が味気ないので美味しくなかったのであろう。
具を手作りに変えてみた
次に取り組んだのは、味噌はインスタントのままであったが、油揚げと豆腐、刻みネギをスーパーで調達して切って入れるというステップを踏んでみた。
具が変わると前よりも少しは食べてくれるようになったが、味噌だけだと味気ないのかそれでも毎回残すようであった。
どうしても好きな味噌汁を残さず食べてほしいと思い、今度は少し手間をかけて味噌汁作りにチャンレジしてみることにした。
手作りの味噌汁が完成
今度はいりこで出汁をとることにした。
いりこをネットに入れてお湯を沸騰させ、同時に味噌を研ぎ、
ネギ、油揚げ、時にはナスや人参などの具を小さく切って、カットわかめと一緒に鍋に放り込む。
待つこと10分。具材が柔らかくなったことを確かめ、味見をして出来上がり!
それからは何故かごはんも茶碗に残さず完食してくれるようになった。
味噌汁がご飯全体を進むようにしてくれたようである。ちょっとした手間が大きな効果を生んだ。
味噌汁は愛情のバロメーター
これまでは妻が作る味噌汁を何気なく食べていたが、ときに味が変わったり具材が少なかったりする時はすぐに分かったのを思い出した。
今更ながら自分で試行錯誤しながら作ってみて感謝が足りなかったなと反省した。
毎日食卓に何気なく沿えられてる味噌汁1品であっても、たかが味噌汁、されど味噌汁である。
妻が毎日味見をしながら家族のことを考えて作ってくれていたと思うと申し訳ない気持ちが湧いてきた。
私が義母においしく残さず食べてくれるようにはどうしたら良いか考えたように、毎日、食事をおかわりしてくれるだろうか、美味しいと言って食べてくれるだろうかと家族のことを考えながら作ってくれていたに違いない。
50にして初めてそういった視点で物事に対して感謝できるようになったことも収穫である。
忘れないように感謝の気持ちを持ち帰ろう。
ただ、正直言って要介護2レベルだから、介護の合間で料理の試行錯誤など余裕のあるチャレンジができたのであろうと思ったのは事実である。
要介護度合いによってはとてもではないが、介護にかかりきりでそんな余裕はないという方も多いのではないだろうか。
そんな時はぜひ頑張らずに人手を頼るのが一番だと思う。介護者が頑張りすぎて倒れてしまう、折れてしまうことが介護にとっての一番のリスクである。
毎日とは言わず、スポットスポットで家事代行サービスなど民間のヘルプをうまく活用してからだと精神を休めながら介護と向き合ってほしいと思う。